東北が誇るワールドクラスゴルジュ。
角川 浄ノ滝ゴルジュ 遡行記録
2025/07/06 日帰り 曇り時々雨
メンバー:KC、他2名
グレード:達人
近年、渓谷登攀の発売によりゴルジュをやる人口が急増加。ザクロ・五十沢・不動川などが今やゲレンデ化されて来ており、情報が少なく未知性の高いゴルジュは無くなりつつある。
そんな沢ヤインフレ時代の中でも非常に情報が少ない魅力的なゴルジュがまだ東北に残っている。
それが浄ノ滝ゴルジュだ。初登した成瀬・青島氏の記録を見た瞬間、ずっと恋焦がれていたゴルジュ。10年の時を経てようやく挑戦の機会を得た。
遊歩道の駐車場から出発。ここまでの林道はかなり荒れているがゴリ押しで入れた。
遊歩道を辿るが、途中から道が不明瞭になったので沢に下りる。
平凡な沢を歩いていると先にヤバイゴルジュが見えてきた。あそこだけ次元が歪んでいないか!?これからあの内院に入るのかと思うとゾッとする…。
そしてついに姿を現した浄ノ滝。地獄の門のような出で立ちと圧倒的造形美。感動と恐怖が入り混じった不思議な感情に支配される。これが浄ノ滝の魔力か。
意を決して出発。F1は右壁から登るが、かなりスリッピー。ヌメリでもないこのスベスベの正体は結局最後まで分からなかったが、初っ端から緊張させられる。
F2は右壁から登る。
浄ノ滝の核心部へと入って行く。写真はF3。両側壁は100m近くそそり立ち、巻くと言う選択肢を許さない。(過去2PTはこの辺から強引に右側壁を巻いているが)
F3中段。パッと見て登れるイメージが湧かない。冷静にオブザべする。
じっくり見てみると左壁も登れそうだが、水線も何となく行けそうに見える。
KC行きます!!闘う顔を取り戻すために!
滝の裏に入り込んで、最後は被ったCSを激シャワーで越える。テクニカルかつパワフル。登れた瞬間、自然と吠えていた。我ながら会心の登攀。
続くF3の上段。GONZO先生が爆速で登ってしまった。
ここも見た目より難しい…。隙間に挟まりながら登る系で苦しかった。
全体を通してF3が核心だろう。ゴルジュのど真ん中でホッと一息。それにしても凄まじい景観だ。
ゴルジュはまだまだ終わらない。F4はGONZO先生リードで取り付く。
歪な形状のF4を登るGONZO先生。
滝上から振り返る。
この辺まで来ると空が開けて威圧感が減る。F5は左から登るが、コイツが意外と曲者でかなり嫌らしい。ポムチムが渾身のリードで突破した。
ようやく核心部を越えたかな?と胸をなでおろしたのも束の間、今度は両側壁がハングして空を覆うような形のゴルジュになる。
最奥の滝。ノーロープで登るが、ヌメヌメかつテクニカルなシャワクラで突破。
後続はゴボウで登ってもらう。ここを越えると沢全体が開けてプレッシャーから解放される。
何個か小滝を越えると屈曲部にF10。(もはや正確なナンバーは分からない)これだけどうにも登れなくて巻きになる。
続くF11。小悪い登りで右から突破。
F11を越えると地獄から一転、天国ような渓相に。緩急ヤバすぎて自律神経バグりそうだ。
ここの美渓区間だけでも日本最高クラス。気が付いたら奇声しか発せなくなっていた。
天使のように現れる3段のナメ滝。
感動のフィナーレで終わりだぜ!と取り付くも最上段がスベスベでかなり悪い。マジでこのゴルジュ全体の謎のスベスベは何なんでしょ。さて、どこから登るかな~?と考えている間にGONZO先生がデスクライムをして左から巻き気味に突破。
せっかくなのでポムチムとKCは別ルートから登ってみることに。KCは右の傾斜の強いフェイスから試登したが、沢靴でギリ登れるレベル。プロテクションは取れないので結構怖い登りになるだろう。
天使のナメ滝を越えるといよいよ終わりが近い。2つほど滝を登ると…。
ゴルジュ終了!3人で健闘を称え合い、柄にも無くみんなでハイタッチ。かなり短いゴルジュだが、とても濃密な内容だった。
あとは枝沢を詰めて下山。
さらば!そして感動をありがとう浄ノ滝ゴルジュ!KC史上過去最高クラスのゴルジュでした!
総評
景観・内容ともに非の打ち所がない至極のゴルジュ。短い区間に沢2本分くらいの内容が濃縮されており、一つひとつの滝が結構ヘビー。とは言え、ほぼ全ての滝が直登可能で全体的に何とかなるレベルにまとまっていてマジ奇跡。絶望的なゴルジュからのプレッシャーと後半に出てくる圧倒的渓谷美に大満足できるはず。日本が誇るべき珠玉の1本。
おすすめ度:
コースタイム
駐車場5:40-浄ノ滝6:00-co560二俣12:40-駐車場15:00
装備
ラバーソール靴、50mロープ、ハーケン、カム
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