沢ヤの憧れ!究極のゴルジュ。
称名川 雑穀谷 ザクロ谷 遡行記録
2025/08/21-22 1泊2日 晴れ時々雨/晴れ
メンバー:KC、他2名
グレード:沢狂
沢ヤならば誰もが一度は憧れるザクロ谷。KCも10年以上前から行こうとするも、ケガやパートナー、モチベーションなどが揃わず、あれよあれよと時が過ぎてしまっていた。
何となく今年行かなければもう行かない気がしていて、マサと予定を合わせていた平日2日で突入することに。ついでに近所の中澤さんも連行することにした。

夜勤明けで立山まで車を走らせる。ここ数日体調が悪く風邪気味だが、もうここまで来たらゴリ押すしかない。
空を見ると天気も怪しい…。どうなることやら。

有名な急登階段を登って雑穀谷へアプローチ。いつもならスイスイ登れる急登も何だか今日は苦しい…。大丈夫かこれ。

急登が終わると冷たい暗闇のトンネルを進む。コウモリが顔面アタックしてきて戦慄。

トンネルを抜けてからはしばらく雑穀谷を遡る。途中雨も降ってきてマジで帰ろうかと思った。ザクロ谷との分岐が近くなると異様な光景が前方に広がり始める。長年憧れたこの場所にようやく立つことが出来たのだ。

F1は少し泳いでサクッと突破。昔はもっと高さがある滝だったとか?それにしても水がめちゃくちゃ冷たい!ブラメタ無ければ死んでるレベル。

遡行者を篩にかけるF2。最初の核心の登場だ。

凄まじい迫力。

KCリードで突入。苦労するかと思いきや、意外と簡単に取り付けて瞬殺。荷上げでやや手間取るが、無事に全員越える。

F2上から見下ろす。素晴らしい造形。

続くF3。右の残置ボルトがある右壁から登るが意外と悪い。素直に水線ショルダーが楽だったかもしれない。

続いてF4。ザクロ谷で一番映える滝だ。

ここは中澤さんの華麗なステミングで突破!弛んだロープが釜でスタックして詰みそうだったが、何とか回収出来た。荷上げで水圧が強すぎてかなり苦労する。

これにて初日の核心は終了。さっさと牛ノ首に着いて豪快に焚火だね。なんて思っていたらノーマークのF5に2時間近く捕まる。
一見簡単そうな左側にマサのバイルを投げて登ろうとするが、水圧が強すぎて吹っ飛ばされる。その後右側をKCがハンマー投げでロープをかけ、ショルダーとアブミでマサが爆水を浴びながら何とか登り切った。やれやれだぜ…。

ようやく核心が終わり、あとは牛ノ首目指して進むのみ。小滝が連続するが意外と侮れない。

ザクロの美しい曲線。

緑の回廊を泳ぎを交えてどんどん進む。

昨日の大雨が影響しているのかどの滝も水圧が凄まじく、見た目よりも難しい。空身登攀→荷上げを繰り返す。

美しい回廊その①。

美しい回廊その②。たまらん。

F8はハンマー投げで一撃。

荷上げ、ショルダー、ハンマー投げのやりまくりで愚痴がこぼれそうになったが、ザクロの圧倒的な美が負の感情をねじ伏せてくる。

結局大幅に時間がかかって夕方に牛ノ首に到着。アドレナリンが切れたのか悪寒と吐き気で気持ち悪くなりフラフラ。夕食のアルファ米もほとんど喉を通らず、強引に眠りにつく。果たして無事に明日を乗り切れるのだろうか…。

翌朝はハマる事を見越して早めに出発。体調も回復し何とかなりそうだ。少し歩くと可憐なてまり滝が現れ、思わずうっとり。

てまり滝は右岸から巻いてクライムダウン。

早乙女沢出合の可愛いポットホール。

元・口無しの釜。爆水を真っ向から受けて登る。

高さは無いがハンマー投げ・ショルダー・エイドなどテクニカルな滝が続く。我々のようにロープを出すよりも空身→ゴボウで登った方が早いと思う。

奥にF25が見えてきた。

F25に到着。直登は考えられない。

定石通り右岸のスラブから巻きに入る。スラバーの中澤さんが取り付くも中間からプロテクションが取れないようで、マサにリードチェンジ。なぜか今回持参してきたアイスバイルを華麗に使い、フッキングで越えていった。ヤバすぎ。

次は美しいソーメン滝。ここはKCがサクッとリードで登ってやるぜと取り付くが、岩が脆くて普通に悪い。ショルダー+A1で突破。

ボルダリーな滝が連発。

少し穏やかになったザクロ。

ここからの2連瀑がやや悪い。

そして最後の関門F34に到着。コイツを登ればザクロは終わったようなものだ。

ここはショルダーとアブミで高度を稼ぎ、遠くのボルトにチョンボ棒でクリップ。そこから乗りに乗っているマサにそのままリードで行ってもらう。抜けの頭の飛んだボルトをどう処理するかが核心。フォローもテクニカルで大変だった。

屋久島にありそうな美しい幅広のF37。

完全に平和になったザクロ。

最後に出てくるF40はハンマーが引っかからず結局巻いた。

登山道に合流して無事に終了。お疲れ様でした!

疲れた体に大日平の草原が沁みる。さらばザクロ!
総評
美しさと厳しさを併せ持つ究極のゴルジュ。沢登りをやっている者は一度は訪れるべき渓谷。内容・景観共に完成されていて非の打ち所無し。沢ヤの力を存分に発揮して突破しよう。
おすすめ度:
コースタイム
1日目
駐車場4:20-ザクロ谷出合7:00-牛ノ首C1 15:30
2日目
C1 5:00-ソーメン滝9:10-F34 11:30-登山道15:50-駐車場19:00
装備
ラバーソール靴、50mロープ、40mフローティングロープ、ハーケン、カム、アブミ、チョンボ棒、ライジャケ


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