沢ヤの最高到達点。日本が誇る究極の渓谷に挑む!
黒部川 劔沢 劔沢大滝 遡行記録
2026/10/09-13 4泊5日 全日晴れ
メンバー:KC、中澤さん、HAZUKI
グレード:沢狂
今年の初めから中澤さんと計画していた劔沢。正直、今年は厳しい沢に行き過ぎて、精神的にも疲弊していた。しかし、10月中旬、これ以上ないほど気象条件が揃ってしまった。これはヤルしかないと覚悟を決める。直前には、超絶繁忙期にもかかわらずゴリ押しで有給をもぎ取ってきたHAZUKIも加わり、これ以上ない布陣が整った。
全沢ヤの憧憬の的、劔沢大滝。沢登り歴15年、その集大成となる挑戦がいよいよ始まる。

当日、まさかの大阪わらじPTと遭遇。劔沢でまさかのバッティングとなった。シブコーさんに至っては、沢登りを始めた頃からその存在を認知していた。まさか初対面が劔沢になるとは…。これも沢ヤの宿命なのか。

バスを降りて、いざ出発!緊張と楽しみでふわふわタイムに突入していたら、KC一人だけ道を間違えてまさかの迷子になる。中澤さんに迎えに来てもらって無事に合流。

ダム放流中。

下ノ廊下を行く。ここ数年は開通していないそうで、登山道の状態が気になるところ。先週には事故も発生しており、万が一ケガでもしようものなら世間から大バッシングを食らうこと必至。いつも以上に慎重に歩を進める。

野生化した下ノ廊下。別山谷出合から先が急激に荒れている。これは一般登山者では通過不可能。

荒々しい黒部川。

十字峡に到着。一般的にはここから下部のゴルジュ帯を巻いて入るが、水量少ないでしょ、多分。ってことで出合から入渓。

ところがどっこい、水量は半端なく、そして水が異様なほど冷たい。筋組織が一気に悲鳴を上げる。

大水量のゴルジュ帯をロープを出しつつ進む。

出口の滝は左のバンドから。やたらとヌメって悪い。ここを越えれば河原になる。

河原を進むと、いよいよ劔沢の大ゴルジュが前方に見えてくる。

初日は焚火テラスまでだね。なんて言っていたが、全然無理だった。(KCが迷子になっていなくても)
大人しく劔沢平でC1とする。

ハーモニカを奏でるHAZUKI。焚火で全ての装備を乾かし、明日に備える。

2日目。朝日に照らされだすゴルジュを見ながら出発。

いよいよ始まる…!!

I滝手前のCS滝に到着。

ここはKCリードで左から。後続は右からユマーリング。

そしていよいよI滝と対面!!ヤバすぎる!!

見惚れる中澤さん。

とんでも空間。まさに神聖。

沢登りを始めた頃の自分に教えてやりたい。君は今、あの憧れの劔沢を遡行しているんだぞ!と。

魂が震える…。大西氏が年に2度も通った気持ちが何となく分かる。

I滝だけで写真集作れそう。

せっかくなので記念撮影。

さぁ、今日の核心はここから。大西ラインでI滝の登攀を開始する。1P目は中澤さん。微妙な草付きを登った先が核心で高度感のあるバンドトラバースになる。いきなりおっかない。荷物が引っかかったりで中澤さんはここを3回通るハメになった。

2P目はHAZUKI。プロテクションの取れないスラブを直上。我々が待機しているうちに、コージさんが爆速で追いついてきた。

2P目終了点より。

3P目はKC。バンドトラバースからのルーファイが難しい。ここじゃね?ってところでフレークを直上したら残置ハーケンがあったのでピッチを切った。

3P目終了点からゴルジュ内を眺める。生きた心地がしない。

4P目は中澤さん。そのままフェースを直上して焚火テラス前まで。岩が脆く、とても気を使う。

焚火テラスに到着。まずはセルフ用のロープを張り巡らす。

焚火テラスでディナー。なお、電波がバリバリに入るのでずっとスマホポチポチしていた。
この後、日が暮れて真っ暗になった頃、わらじPTも焚火テラスに到着。どうやら3P目で沼っていたらしい。2畳半ほどのスペースに大人6人がひしめき合い、何とか就寝。

3日目。今日が最大の核心。劔沢大滝の核心部を一気に駆け抜ける日だ。さすがに2PTだと無理があるので、ここはわらじPTとタッグを組ませてもらい、ロープを伸ばしていくことする。

しばし順番待ちタイムを経て、絶望的なゴルジュ内のトラバースラインを辿る。誰もが口を揃えて言うが、このルートは完全にイカレている。先人たちは一体どんなメンタルで、このラインを引いたのだろうか。

トラバースライン終了点よりD滝を望む。ドローンが飛んでいると思ったら、まさかのゴルジュクラブ。彼らは2泊で劔沢を水線下降しに来たようだ。劔沢の核心部に3PTが集うと言う前代未聞の状況が起こっている。

トラバースラインから見るD滝が一番美しい。

圧倒的な美。よく見るとゴルジュクラブがD滝上にいる。

トラバースラインからの振り子懸垂が実は一番怖い。

水際バンドに到着。不安を消すために笑うしかない空間。

絶望の光景。

もはやどこを登って降りたのか分からない。

緑の台地へロープを伸ばす。

ゴルジュクラブのタスクからもらったドローン空撮。緑の台地でたむろする人間。

緑の台地から振り返ると、劔沢ゴルジュのヤバさが分かる。

D滝下に懸垂下降。

ロープを抜いたら、もう戻れない。登るしかないのだ。

圧巻のD滝。優美で気品のある滝だ。

ここも混成PTとなってロープをどんどん伸ばしていく。1P目はコージさん。ブランクセクションのボルトが飛んでいてジャンピングで打ち足す。

フォロー登攀中。

2P目はHAZUKI。岩泥草付きのミックス。一番嫌らしく沢登りらしい核心ピッチだ。丁寧に登ってクリア。ナイスリード!

KCが残りメンバー分が使うユマーリング用ロープを引いてフォローする。

3P目はコージさんに背中を押され、KCがリード。エイドを交えて脆い小ハングを越える。2P目よりは短いが、ここも普通に強度が高いムーブを要求される。

無事にD滝を登りきった!あとは後続がユマーリングで登って来るのを待つのみ。

日が暮れて真っ暗になった頃、ようやく全員がD滝上に集合した。

焚火も出来て大満足。とても寒かったが、良い夜を過ごせた。

4日目。さて本日は消化試合…。と思っていたらそんな事はなかった。

B-C滝が普通に悪い。

B滝フォロー中のKC。

A滝は2mほどの小さな滝。左壁から登る。

ようやく全ての滝を登り終えた…。

昨日から100mくらいしか進んでいない。

雪渓ゼロの白亜のゴルジュを進む。悪い滝が何個かまだ出てくるが、連携で突破していく。

ゴルジュ地形が緩んでくると終わりが近い。

ヘトヘト…。

そして、ついに!紅葉に染まる八ツ峰が前方に見えてくると劔沢はフィナーレを迎える。

とんでもないシナリオを描く劔沢。この終わり方はズルすぎる。脳内でエンディングソングが流れる。

記念撮影!!劔沢大滝完登!!

近藤岩近くでC4。焚火を熾してわらじPTを待つ。

わらじPTと合流して焚火を囲む。結局朝まで寒さと興奮で眠れず、沢談義に花を咲かせた。

夜は満点の星空。

満たされた…。

翌日は紅葉を眺めながら下山。コーラで乾杯して帰路に着いた。
沢登りを始めた頃は、自分が一生この場所に立つことなどないと思っていた。それだけに、今回こうして剱沢大滝を遡行できたことは、感無量の一言に尽きる。最高の天気に恵まれ、最高のメンバーとともに挑めたこと。そして、随所で力を貸してくださったシブコーさんPTにも、心から感謝したい。
剱沢大滝は、これまでに訪れたどの沢とも違う、圧倒的な美しさと険しさを併せ持つ別格の渓谷だった。
沢登りを始めた頃に憧れた場所へ、自分の足でたどり着くことができた。その経験は、これから先もずっと心に刻まれ続けるだろう。剱沢大滝は、間違いなく一生の記憶に残る究極の名渓だった。
総評
剱沢大滝を擁する、全沢ヤ憧れの究極の名渓。圧倒的な水量と異様なほど冷たい水、絶望的なゴルジュに引かれたトラバースラインなど、渓谷のスケールもルートの異常さも別格。登攀技術はもちろん、精神力と総合力が試される。遡行を終えたときの達成感は格別で、沢登りの集大成と呼ぶにふさわしい一本。
おすすめ度:
コースタイム
1日目
黒部ダム7:55-別山谷10:10-十字峡12:20-剱沢平C1 13:50
2日目
剱沢平7:10-I滝下8:15-登攀開始9:00-焚き火テラスC2 15:10
3日目
焚き火テラス8:40※-水際バンド11:00-緑の大地11:50-D滝下13:15-D滝上C3 18:00
4日目
D滝上8:20※-B滝上8:45-左岸リッジ下10:10-近藤岩C4 13:50
5日目
近藤岩6:15-ハシゴ谷乗越8:05-黒部ダム11:10
※順番待ち
装備
ラバーソール靴、フラットソール、50mロープ、50mフローティングロープ、60m細引き、ハーケン、カム、アブミ
