スラウェシ島・最高峰に詰め上がる沢を人類初遡行!!
ランテマリオ山 ソンガン川(salu songgung) 遡行記録
2026/08/29-09/02 4泊5日 8/29-晴れ 8/30-晴れ 8/31-晴れ→小雨 9/1-晴れ 9/2-晴れ
メンバー:KC、ワセタン、コルパラ部員3名(途中分隊)
グレード:中級
春から少しずつ準備を進めてきた、インドネシア沢登り遠征。ほぼ未開の地であるスラウェシ島の中から、最高峰ランテマリオ山へ東面から詰め上がるソンガン川に狙いを定めた。標高3478mへと至る、長大な沢登りが始まる……。
この記録では沢登りの様子と帰国までに焦点を絞っています。入国~入渓前までについてはヤマレコをご覧ください。

全てのパーミッションをクリアし、ようやく出発。コルパラメンバー&ランテバラ村の人たちと出発前に記念撮影。

ソンガン川下部は採掘会社が牛耳るエリアのため、入渓まではスマホ禁止。警備員に案内されてようやく入渓。

ジャングル系の渓相。

序盤は穏やかな河原歩き。

滝はちょこちょこ出てくるが、通過の支障になるものはない。

地形図上だとco1900付近まではコンタが緩い。初日は何も出てこないとこの時は思っていた。

徐々に滝が出てくる。

水量多く、直登は当然無理。巻き巻きで通過。

10mCS滝。ここは巻けない地形なので登ることにする。コルパラメンバーは泳ぐことを拒絶して巻こうとしていたが、無理やり呼び寄せた。

そしてすぐ先には絶望的なゴルジュが広がる。予想外のゴルジュ登場に心臓ドキドキ。

ゴルジュに菱形CSが挟まってる異様な景観。

この先の滝が全くムリなので巻くことに。

右岸の弱点を突いて安定した藪まで登る。陽気なコルパラメンバー。

沢に戻ると大釜を持つ2段8m滝。

先程の滝を越えた先でイイ時間になったのでC1。スラウェシ島は朝晩寒くて、日中は猛暑。湿度は低く、薪はパリパリに乾いている。

テントスタイルのコルパラメンバー。左から、アルファリジ、リチャード、ワーワン。

2日目。いきなり5mCSに行く手を阻まれる。右から小さく巻き登って越えられた。

これも登れないが、右から巻ける。基本的に巻きはポジティブで容易。

しばらく美しい渓相が続く。

美しい渓相に珍しくはしゃぐワセタン。

大滝がかかる二俣。

こちらはランテカンボラに詰め上がる支流。

我々は本流方面へ。この先の滝で3時間近くハマる。

地形図を見ると今日は全く進めていない。先程のタイムロスを挽回するかのように日本人メンバーを先頭に足早に進む。

しばらく歩くと、コルパラメンバーがいないことに気付く。声を出しても返事はなく、戻って探してみても見つからない。まさか……はぐれた!?けんじりさんの過去の記録に「コルパラメンバーと24時間はぐれた」と書かれていて、当時は爆笑していた。まさか自分たちの身に同じことが降りかかるとは……。これは発狂もんだ。いや、実際に発狂した。結局、彼らと再会したのは1時間半後。写真は再会直後の一枚。こっちが必死に探し回っていたというのに、呑気にタバコを吸っている(笑)。

この日はトラブル続きで全然進めず、偶然見つけた岩小屋でC2。違法採掘者と思わしき人物の痕跡があった。何だか沢以外の部分でとても疲れた。

ここだけ地味に湿度が高く、少々不快なキャンプサイトだ。

夜はコルパラメンバーと今後について協議。彼らから分隊したいと申し出があったので、明日からは別行動となる。彼らは近くの尾根から登山道に抜けるようだ。稜線上のキャンプサイトを集合場所にした。

3日目。この日から日本人メンバーだけで行動。さすがにスピードが違う。スイスイ進む。

THEジャングルな渓相を黙々と進んでいく。

co1900のコンタが詰まる区間に到達。予想通り、連瀑が出てきた。

滝は登れないものが多いが、どれも迫力は十分。

連瀑でどんどん標高を稼ぐ。

ハイライトの多段80m滝。ファンタスティック!!

藪が濃くなり、だんだん巻くのも面倒になってきた。

体力お化けのワセタンもこの表情。さすがに2人とも疲れが見えてきた。

奥の二俣を左へ。

先程の滝を登った先にイイ台地があったので、ここでC3。小雨が降り始めて、周囲はべちょべちょ。衣類も乾かせず、この日も不快な夜になった。

4日目。昨日でかなり標高を上げたので、今日中には稜線へと抜けられそうだ。

沢にはイラクサ系の植物が大量に生えていて、これが触るだけで激痛。この日一番厄介な存在となった。

一瞬だけ現れた天国のような場所。あとはイラクサやトゲトゲ植物が沢を覆い尽くし、数m進むのさえ困難な渓相になる。まさに地獄。

ワセタンの判断で尾根へエスケープ。これが大正解で藪ナシの快適な尾根使って、快適に高度を上げて行く。

休憩中の1枚。3000m越えているのに、こんなにデカイ木がたくさん生えている。

ランテネネモリの勇姿。

ようやく森林限界突破!!あと少し?

次第に登山者のゴミが散見され、登山道が近いことを悟る。

そして突然現れた神のテン場。

ヤバすぎ!まさに天国!!

着ている衣類を全て脱ぎ捨て全裸になる。今日はここでオープンビバークだ。

ちなみに標高3200mなので普通に寒い。

チルタイム。

こんな最高のテン場があるのかと思うほど、感動的なロケーション。沢の中では常に発狂していて地獄だったが、ここはまさに天国。あまりの素晴らしさに、最後の最後で一気に評価が覆った。

5日目。コルパラメンバーを待ったが来る気配なし。水も底を尽きかけていたので、山頂を踏んで先に下山することに。

山頂まではなだらかな登山道が続く。サンダルで歩ける。

そしてついに!ランテマリオ山に登頂!!

360°パノラマで全てが見渡せる素晴らしい空間でした。

コルパラメンバーにメッセージを残して下山。

一般道は整備が行き届いており、とても下りやすい。

Pos2。ここまで来れば安全圏。

無事に下山!あとはカランガン村までもうひと頑張り。

この辺はコーヒーが特産品らしく、周囲にはコーヒー畑が広がる。

カランガン村が見えてきた。これから宿を探さねばならない。

意外とすんなり宿が見つかり、荷物を置いて街中を散策。

とても雰囲気の良い場所でした。ここならしばらく滞在してもいいかな。

宿のメシ。

とても快適な宿。この日の夜にコルパラメンバーと連絡がつき、帰れる目途が立つ。

6日目。コルパラメンバーと合流!!何と3日ぶり。みんな無事で良かった!

山頂では叶わなかった記念撮影をして帰京。

リチャードが車を手配してくれた。

軽トラの荷台に乗せられてエクストリーム下山。

日本に帰るまで日数が余っているので、観光することに。

岩場に寄ったらクライマーが登っていた。バリから来ている学生さんみたい。

少し北上してコルパラOBのウディン宅でお世話になる。コーヒーショップを経営していて∞コーヒータイム。夕食まで連れて行ってもらった。ヤギスープが激ウマ。

ウディンのコーヒー。コーヒーとお菓子が∞に出てくる。

ナシバカラは個人的NO.1メシ。

マンギスはライチのような果物。

ナンカはマンゴーとパイナップルを掛け合わせたような食感。

マーケットを散策。

さらに北上してトラジャに移動。トラジャはリチャードとワーワンの故郷。

リチャードの実家にお世話になる。豪邸。

観光しに行く。

有名な観光地らしい。

トラジャ族には、祖先が船に乗ってスラウェシ島へ渡ってきたという伝承があり、それに由来して船を模した形の屋根になっているそう。

結構たくさんの人で賑わっていました。

夜はなぜか男4人で夜景を見に行く。

ピクセル10の夜景モードを未だ使いこなせていません。

麓の街に降りて、バロという伝統的な酒を仕入れて夜はリチャード宅で呑んだ。

翌日はついにコルパラへ帰京。快適すぎるバス。

コルパラへ帰ってきたと思ったら、何か式典の準備?

明日は卒業式みたい。豪華な料理があったので、腹いっぱいになるまで食う。他にもたくさんのイベントがあったが、キリがないのでここまでとしよう。
今回の遠征で感じたのは、海外の沢は未知の渓谷を遡るだけではないということ。言葉も文化も違う土地で、沢登りを通じて現地の仲間と出会い、つながっていく。その出会いと交流こそ、海外遡行の大きな魅力なのだと思う。ソンガン川遡行は、沢登りが国境を越えて人と人をつなぐことを実感した遠征だった。
総評
屋久島とジャングルを組み合わせたような渓相で、登れる滝はほとんどない。滝登りを楽しみたい人には向かないが、未知の土地を歩き、沢を辿り、山頂まで詰め上げる旅が好きな沢ヤにはたまらないフィールドだ。スラウェシ島には、まだ誰にも踏み込まれていない沢が無限に眠っている。未知の沢を求める沢ヤよ、次はスラウェシで自分だけの一本を探してみてはどうだろう。
おすすめ度:
コースタイム
1日目
入渓10:00-CSゴルジュ14:00-C1 16:00
2日目
C1 8:00-co1250二俣9:00-C2 16:50
3日目
C2 6:40-co1900連瀑帯10:40-C3 13:40
4日目
C3 7:40-稜線16:00-C4 16:10
5日目
C4 9:30-ランテマリオ山10:00-カランガン村16:00
装備
フェルトソール靴、50mロープ、50mフローティングロープ、ハーケン、カム、アブミ
